ごあいさつ

みんなをつなぐ
みんなへつなぐ
 
人の役に立てるよろこび、
人のありがたみを感じられる 
幸せな地域に
ここにあつまる笑顔を未来へ
 
神戸市東灘区を本拠地とするNPO法人ゆかりは、
地域に暮らすすべての人が集まることのできるコミュニティーを運営しています。
 
『ベジタブルカフェひなた』は、障がい者が育てた野菜を使い、
障がい者がはたらくカフェ。
お年寄りの語らい場や子ども食堂としても機能し、
お年寄りと子どもたち、健常者と障がい者をつなぐ地域の“集会所”です。
すべての世代が助け合って生きる、健康で心豊かな地域づくりを目指します。
 
 
 
 
近所のおっちゃんおばちゃんが
私たちを育ててくれた
 
今の時代は、子どもたちにとって「ご近所さん」のありがたみを味わえる地域環境が
少なくなっているように感じています。
日常からは想像もできないような出来事や犯罪が起きていることを考えると、
そうならざるを得ません。
 
私たちの子どもの頃といえば、回覧板がまわってきたり、
家の前の道路に絵を描いたり、かくれんぼをしたり、そういった環境でした。
中でも、私にとって、地域の方たちが催してくれた
クリスマス会や餅つきなどのイベントは楽しい思い出です。
ある時、盆踊り大会で当たったくじの景品が、忘れもしない電子レンジ!
あんなに嬉しくて興奮したことはありませんでした。
 
というのも、我が家の家計はとんでもなく大変で、
友達を家に呼ぶのもはばかられるほどでした。
今でこそ笑って話せるものの、学校に通うための文房具も十分に揃えられない中、
筆箱セットや下敷きなどを配ってくれたり、
いつも私たちによく接してくれた近所のおっちゃんおばちゃんの印象は今でも鮮明で、
全員の名前まで覚えているほどありがたく感じています。
 
 
 
 
地域に受け入れられるという
ありがたみ
 
今から数年前、現在の新居に引っ越してきた翌日の話です。
私たち夫婦は仕事に出てしまい、
家の鍵を持たないまま下校してきた娘が家に入れなかったことがありました。
 
そのとき娘は、近所の見知らぬお宅にお願いをして、トイレを借りたというのです。
「アイスやお茶をごちそうしてもらって、友達になってきた」
と、帰宅した私に楽しそうに話しました。
まだご近所に引っ越しの挨拶もできておらず、
ぞっとした私は、すぐに菓子折をもって謝りに行きました。
話しを聞くと、現役を引退され、地域の自治会長を務められているとのこと。
私たちを快く受け入れてくださったことが本当に本当に有り難く、
感謝の気持ちでいっぱいでした。
 
私は、子どものころの記憶がよみがえりました。
娘たちにもこうして地域の方に育てていただくありがたさを感じ、
活かしてほしいと強く感じたのでした。
 
 
 
 
障がい者も、おじいちゃんおばあちゃんも
共に助け合って生きられる社会にしたい
 
障がい者に対しての想いをお話しさせてください。
もう何年も前になりますが、当時療養していた主人の母のために、
障がい者支援ヘルパーの免許を取得しました。
研修に入った先で多くの保護者の方から聞かれた不安の声が、
「自分が先立った時、障がい者であるわが子を誰が看取ってくれるのだろう」ということでした。
日本ではまだ、障がい者が自立して生きていける確固たる仕組みがありません。
障がい者のお母さんの切実な悩みに、何かできないかと、もどかしい思いでした。
 
この地域では、定年退職をされてもなお、地域住民が安心して暮らせるように、
見回りをしてくれる方たちの存在があります。
子どもを持つ親としては、とてもありがたいことです。
そのあたたかい思いと、かつて強いジレンマを覚えた障がい者とがリンクしました。
 
障がい者もおじいちゃんおばあちゃんも、子どもたちも、
みんなが分け隔てなく共に過ごせる社会を作りたい。
親友のママ友をはじめ、さまざまな方のご協力を得て「NPO法人ゆかり」を立ち上げました。
私が最も得意とすることは、「人をつなぐ」こと。
NPOにはまったく無知だった私に、いろんな力を持った方が集まりました。
「みんなの、すべての想いと力で実現させよう」
ネットワークがつないだ縁を生かしてできたのが、この団体の由来です。
みんなが同じ思いを持ち、遠くは東京まで、強い熱意をもって協力しあうことができています。
 
 
 
 
おいしくにぎやかな空間
ベジタブルカフェひなた
 
まずスタートが、地域のコミュニティー「ベジタブルカフェひなた」です。
私はグリーンスムージーが好きだったこともあって、
障がい者が育てた無農薬野菜の存在を知りました。
とてもおいしい上に意義があります。
 
そこで、この障がい者が生産した野菜を使い、障がい者がふるまうカフェをつくりました。
モーニングやランチには、
地域のおじいちゃんおばあちゃんがお喋りに、週に2回は小学生が学校帰りに集まり、
おじいちゃんおばあちゃんといっしょに宿題をしたり、ご飯を食べられるという場です。
みんなで助け合い、暮らしやすい地域にする第一歩だと考えています。
 
 
 
 
だれもが胸を張って
笑顔で暮らせる国に
 
日本の障がい者に対する対応が遅れてることは、アメリカなどの例を見ても明らかです。
神戸市では、障がい者を積極的に受け入れる動きがあります。
市の業務の一部に、
就労継続支援B型(企業などに就職することが困難な方が、雇用契約を結ばずに働くことができる場所)
を導入しようとしています。
 
私は、障がい者に携わってきたからこそ、素直に一生懸命に頑張る障がい者に花を持たせたい!
この子たちには地域づくりができるんだということを広めていきたいのです。
全力でそういった環境づくりを進めています。
「ベジタブルカフェひなた」の土地・建物を貸してくださった方も
ご近所のおじいちゃんおばあちゃんです。
お話に伺うと、「素晴らしいことや!」と応援してくれました。
まだまだ始まったばかり。人生って、長いようで短いものです。
次世代に託すみんなの思いをカタチにし、実現していきたいです。
 
 
NPO法人 縁(ゆかり)代表理事長 竹内加奈子