NPO法人縁
NPO法人縁とは、神戸市東灘区を本拠地として、地域に暮らすすべての人が集まることのできるコミュニティーを運営しています。
法人名 | NPO法人縁 |
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代表理事長 | 竹内加奈子 |
住所 | 神戸市東灘区魚崎中町2-5-3-1 魚崎駅徒歩3分 |
電話番号 | 078-764-1701 |
営業時間 | 9:00~18:00 定休日:土曜、日曜、祝日 |
事業内容 |
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株式会社AKARA
株式会社AKALAは、障がいをもつ方々が一般就労の形で地域社会で働くために設立した会社です。
社名 | 株式会社AKARA |
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管理者 | 竹内加奈子 |
住所 | 神戸市東灘区魚崎中町3-592-3 1階 |
電話番号 | 078-777-5676 |
営業時間 | 9:00~18:00 定休日:土曜、日曜、祝日 |
事業内容 |
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障がい者と地域の直通アクセス
「DOOR TO DOOR」で
みんなをつなげる
もっと地域とつながりたい。そのために縁ができること
「地域と障がいをもつ方たちの接点となる居場所をつくりたい」
その想いが縁の活動のはじまりでした。最初に立ち上げたのは、就労継続支援B型「日菜田」。ここでは、利用者さんと地域の方が一緒にお弁当を作って提供する「地域食堂」や「子ども食堂」を実施しました。お年寄りやお子さんがご飯を食べにきて、おしゃべりをしたり宿題をしたり。利用者さんと地域の方が自然につながる「見守りの場」へと成長していきました。
コロナ禍になると、お弁当への需要がさらに高まり、2ヶ月間、地域の方へ無償弁当を提供しました。その活動を通して、利用者さんと地域との距離が縮まり、お互いの理解が深まったと実感しています。
何より私たちが感じたのは、魚崎というこの地域で暮らす人のあたたかさ。
「パン作りを一緒にしたい」という方。
「バイオリンを弾きに来てもいい?」という方。
「私も、もっと手伝いたい」という方。
地域のみなさんのほうから、私たちに歩み寄ってきてくれたのです。こんなあたたかい地域なら、障がいのある方が地域ともっと関わっていける。一緒にできることをもっと増やしたい。そう考えるようになりました。
しかし、これまで私たちが運営してきた事業所では広さが足りず、できることにも限界がありました。もっと広い場所があれば、障がいのある方やお年寄りが一緒にわいわい料理をしたりおしゃべりをしたり、時には地域のイベントを開催したり、つながりはどんどん広がっていくはずです。そんな折、私たちの活動の趣旨に賛同してくださった地主さんが、土地を譲ってくださることに。「そういう場所ができるなら、すごくいいことだと思うよ」と応援してくださいました。この言葉に背中を押され、私たちは多機能型事業所の新設に向けて動き出しました。
一体型だからできる手厚い支援
新設するのは、グループホームと就労B型が一体化した多機能型事業所。これまで運営してきた事業所の2倍の広さがあり、1階に働く場所、2階に生活する場所、3階に屋上菜園を備えた大型の施設です。
働く場所と暮らす場所を一体化させた事業所は他に例のない、初めての試みです。一体型にする理由は、手厚い支援を行うため。縁では2021年10月現在、魚崎に9ヵ所の事業所をオープンしています。しかし、就労支援とグループホームがバラバラに点在すると支援者の手も分散せざるをえず、なかなか目が行き届きません。支援者にも一体感が生まれにくく、マンパワーを最大限に発揮できないという課題がありました。
これを一体型にすることで、支援者を一カ所に集中させることができ、人数にゆとりが生まれます。目が行き届き、作業の支援でも伝えられることが充実します。そうなれば、今後の仕事の可能性も広がるでしょう。また、作業の支援をした後で生活支援にまわる、という柔軟な対応が可能に。支援者と利用者さんが共に過ごす時間が増えることでお互いへの理解も深まり、楽しい時間や大変な時間を分かち合うことができます。
「あたりまえ」に地域で暮らす
最初の事業所である「日菜田」を建てたときから、私たちは一つの目標に向かって進んできました。それは、障がいのある方が、生まれ育った地域に恩返しができる場所を作るということ。
恩返しの一つが、利用者さんの成長ぶりを地域の方にみてもらうこと。縁には、就労B型から一般就労に切り替わった利用者さんが4人います。これは、仕事に対して真面目に、一生懸命取り組んで力を発揮した結果。「今度は自分たちが支援する」と、事業所で支援者として働いてくれています。それは、障がいのある人も「あたりまえ」に、「普通」に地域で一緒に暮らし、一緒に働くことができるという証。地域の方にその姿を見てもらえれば、「一緒に働けるんだ」という新しい発見になると考えています。そうなれば、これから障がいをもって生まれてくる子も、ずっと暮らしやすくなるでしょう。
もう一つが、みなさんに喜んでいただけるよう、質にこだわった食を提供していること。北海道産のブランド小麦を使い1年半の試行錯誤を経て生まれた食パン、自家菜園で手間ひまかけて育てた野菜をたっぷりつかったお弁当。安心・安全でおいしい食を提供し、地域や企業の方から自然に求められる場所でありたいと考えています。
これを具現化するのが、新設する施設の1階にオープンするカフェ。食にも内装にもこだわり、利用者さんが地域の方と一緒に働き、パンづくりをしたりお弁当づくりをしたりして、地域の方に提供します。これまでと違うのは、広いスペースがあるので、働きたいと考えている地域の方にも、もっとたくさん働いていただけること。時には地域の団体がダンスをしたりお茶会をしたりと、イベントができるフリースペースとしても利用できます。
一生涯を安堵の中で終えられる場所に
2階はフロア全体がグループホーム。10室を配備しています。
利用者さんの親御さんは、障がいを抱えたわが子が地域で暮らす難しさを感じ、絶えず不安な想いを抱えておられます。安心して預けられる場所が見つからず、「私がいなくなったらこの子はどうなるの」と最期まで不安を抱えたまま亡くなられた親御さんもいました。もうそんな辛い想いを、誰にもしてほしくありません。生まれ育った地域に住み、働き、生涯をそこで終える。それは利用者さんとその親御さんにとって何よりの安堵であり、夢ではないでしょうか。
現在、日菜田では2つのグループホームを運営しています。共同生活を始めて2年弱、一緒に暮らしてきて改めて感じるのは、利用者さんの成長ぶりです。自分で洗濯や掃除をし、軽い食事を一緒に作る。お風呂の順番も譲り合って決めて、自然と自分たちのルールで暮らしを上手に作りあげているのです。10人という大所帯になる新しい施設でも、同じように楽しく暮らすであろう彼らの姿が目に浮かびます。
また、屋上にも3室の居室とスタッフルームを備えています。利用者さんが感染症などに罹患した際に、他の利用者さんから隔離しながら看ることができます。
屋上菜園で農業にチャレンジ
屋上には小さな菜園を作ります。郊外の畑に出向くのではなく、あえて町なかの限られたスペースを活用したのには理由があります。
自然と触れることは、利用者さんの心に安心を生みます。これまでも、他地域の畑をお借りして、農業体験を何度も行ってきました。ところが地域外に一歩出ると、よそからきた私たちを畑に受けいれてもらうことは非常に困難でした。地域の壁が目の前に立ちはだかり、いくつもの畑を転々としました。
そこで、最初にできた事業所「日菜田」に小さな畑を作ることに。ほうれん草や小松菜、トマトなど、さまざまな野菜を栽培しました。収穫した野菜は、支援者のまかないやグループホームでの食事に使うほか、地域の方々に配って食べていただきました。この活動でさらに地域とのつながりが生まれ、「地域に受けれてもらえた」と肌で感じることができました。
屋上菜園を作ったのも同じ理由から。狭い町なかの片隅でもいい。地域の人と一緒に野菜を育て、一緒に食べる。そんなごはん活動を続け、つながりを深めたいのです。
ここからはじまるDOOR to DOOR
私たちをここまで導いてくれたのは、利用者さんのパワーです。例えば、パン工房で働く利用者さんは、チラシを持ってあちこちに営業に出向いてくれます。かかりつけの病院や薬局、兄弟の勤め先、遠くの親戚。自分が知っているありとあらゆる場所で、パンをアピールして契約につなげてきます。しかも、躊躇なくへっちゃらで。彼らの臆さない勇気と奇想天外な発想が、地域や社会とのつながりを広げているのです。
私たちの役目は、彼らにルールを教えることではなく、今何が必要かを彼らから感じ取り、表現すること。今それは、地域と彼らをつなぐ場所をつくること。場所さえあれば、あとは彼らが自分たちで「居場所」を作りあげていくでしょう。
利用者さんがあたりまえに働き、暮らし、親御さんがいつでも顔を出せる場所。地域の方も気軽に参加・利用できる場所。ドアを開ければすぐつながる。障がいのある方もない方も、子どももお年寄りも、企業も団体も、みんながつながる、DOOR to DOORの直通アクセス。そんな新しいあたりまえを、ここ魚崎から実現します。
みんなをつなぐ、みんなへつなぐ
人の役に立てるよろこび、人のありがたみを感じられる
幸せな地域にあつまる笑顔を未来へ